2009年よりNY在住で、共にファッション業界に身を置くロン毛(Wataru Shimosato)と坊主(Ryo Miyamoto)が綴るブログです。

海外生活を通して培ってきた考え方、仕事論、ファッションネタ、NY観光情報など雑多に更新中。

ブルックリンでオンラインブティックNo.648を運営しています。


ゲストエディター

アンリアレイジとサカナクション山口一郎が魅せたデジタル新時代の体験型ショー

アンリアレイジとサカナクション山口一郎が魅せたデジタル新時代の体験型ショー

ロン毛と坊主とニューヨーク ANREALAGE アンリアレイジ パリコレクション 2016春夏

今までファッションについて自分の意見をあまり綴ってはきませんでしたが

せっかく何でも書ける自分(達)のプラットフォームを持っているので

ファッション業界に身を置く者として今後は機会があればファッション批評のような記事も書いてみようかと思いまして。

 

 

 

2016年春夏パリコレクションで日本人デザイナーの森永邦彦氏が手がける"ANREALAGE"がショーを行いました。

今回が3回目のパリコレでの発表で

当日はUSTREAMでのライブ中継があり私もパソコン越しにショーの中継を見ていました。

 

 

ANREALAGEの服は私は今まで一度も着る(購入する)機会はなく

今の自分が着る服の好みからもズレているので今後も着ることはあまりなさそうでありますが、

パリでの最初のシーズンから毎回ライブ中継を見ていたので今回も例に漏れず中継を見ることにしました。

多くの日本のファッション業界人や服好きな人々と同じように

御三家以来の世界で活躍する日本人デザイナーの再来を待ちわびるような、

(どんな上の立場にいるんだと言われそうですが)いわば発表を見守るかのような気持ちでパソコンの画面と対峙している感覚でしょうか。

 

今回のコレクションは私が日本にいた頃に聞きまくっていた「サカナクション」の山口一郎氏がサウンドディレクションを担当するということで、

そちらにも注目していました。

 

 

今まで一番注目を集めたショー?

さて、結論から言うと

今回のショーはANREALAGEというブランドにとって

今まで3回行われたパリコレクションのショーの中では一番、

世界からの注目を集めることに成功したショー

言い換えると「今までで一番ブランドとして名を広めることに成功したショー」だったのではないかと思います。

 

 

服のデザイン、素材、パターンなんかの服飾話は

私よりもそれに詳しい方々の批評にお任せすることにして

ここではそういったことは割愛させていただきますが、

私から見ると今回のショーは今までの3度のパリでのショーの中で

一番解りやすいショーだったように思いました。

 

 

今のファッション業界に身を置く人というのは

その多くがファッションの表面的な部分が好きな人が多いように思います。

それはインターネットの台頭とファストファションの一般化により

昔と比べてファッションが全ての人にとって近い存在になったのが要因であると思うのですが

それの良し悪しはここではどうでもよくて、

つまりそういう時代だからこそ、そういった人々に響かせるショーのやり方があるわけで

要は、今回のANREALAGEはそういう時代感を掴み

うまく「今」に沿ったショーを演出した、と感じました。

 

 

超絶簡単にコレクション全体をプレビューすると

「REFRECT (リフレクト)」というテーマに基づき

服は基本的にシンメトリーな作り、

そしてカメラのフラッシュが服に降りかかる際に

光に反射する特殊な素材でできた服には様々な模様が浮かび上がる、という仕様。

 

 

 

正直なところ服そのもののデザインに関しては真新しいものは感じませんでしたが

それはデザインが出尽くしている今の時代には仕方がないことというか当然であるとも言えることで

私個人的にはそれほど評価の対象には入りません。

 

そして最新技術で作られた特殊素材を用いて服を作るということ自体も

今現在においては取り立てて新しいことでもありませんし、

光に反応して色や模様が変化するというのも(今回の光の反射とは違いますが)

数年前からANREALAGE自身が太陽光を浴びると色が変わる服を発表していたり

それ以前にはJohan Ku(ヨハン・クー)というデザイナーも光によって色が変わる服を発表していました。

 

 

 

ただ今回のANREALAGEは

その最新技術をうまく人々の「驚き」や「感動」という感情に訴えかけたことが

私が言う「ブランド名を世界に広めることに成功した」という所存であります。

 

 

デジタルを駆使した時代に見合った見せ方

ショーに来た人々を「驚かせる」、「感動させる」ということに関して

今回のショーでは観客が自ら感動を体験することのできる仕掛けがありました。

 

客席には自らのスマートフォンのカメラでショーを撮影する際に「フラッシュを使用して撮影するように」という説明書きと

サカナクション山口氏の手掛けた「バイノーラル音源」を体験するためのヘッドフォンが置かれていました。

バイノーラル録音(バイノーラルろくおん、 英語: Binaural recording)とはステレオ録音方式の一つで、人間の頭部の音響効果を再現するダミー・ヘッドやシミュレータなどを利用して、鼓膜に届く状態で音を記録することで、ステレオ・ヘッドフォンやステレオ・イヤフォン等で聴取すると、あたかもその場に居合わせたかのような臨場感を再現できる、という方式である。 - https://ja.wikipedia.org/wiki/バイノーラル録音

 

 

この「人々に驚きと感動を体験させる」というプレゼンテーションの方法は、

間違いなく今回のショーを世界に届けるのに一役以上買っているはずですし、

やれトレンドだ流行だと騒ぐファッション業界で

根本的なシステムや見せ方は未だに古い流れが大部分を占めているブランドばかりの中で

頭一つ抜けていい魅せ方、今の時代に合ったプレゼンの仕方だと思いました。

 

多くの有名ブランドはお金を使って派手な演出や奇抜なショーを開催するものの、

結局のところそれではショーの見た目が変わるだけであって

見る人々の経験としては今までにも散々見てきた豪華なショーとさほど変わりがない中で

今回の体験型のショーは見る人たちにも「新しいモノ」として写ったはずです。

 

 

いかんせん

今回パソコンのスクリーン越しに中継を見ていた私ですら

イヤフォンを装着することで脳に直接響いてくるような、臨場感のあるバイノーラルサウンド体験に感動し心を奪われていたくらいなので、

ショー自体の緊張感、服への感動やフラッシュを使用し自分で服を撮影することの楽しさや驚き、

サウンドが更にその場の迫力に拍車をかけた実際の会場では

訪れたバイヤーやプレス、ブロガーなどの人々の感動は画面越しの私以上だったはずです。

 

 

ショーの反響は?

「新しい体験」を通して人々に響かせられれば

メディア(または今の時代では個人)はこぞってその感動を伝えようと報道し

インターネット内、SNSを通してショーの様子を世界に一斉に発信することは容易に想像できます。

そういったメディアやインフルエンサーにとって新しいモノは、

それをフォローしている一般人にとってももちろん新しいモノである場合が多く

そこから更にバイラル化を起こし世界中に広まっていきます。

今までANREALAGEを知らなかった人や興味のなかった人にも内容が届くことは

イコール、世界に名前を広めることにつながるのです。

実際に今回のショー後には私のSNSフィード上に

ANREALAGEに関する記事やコメント無数流れてきて(その情報を発信、シェアしているのは多くが日本人以外の外国人でした)

その反響にちょっと驚いてしまったほどです。

 

服作りにおいてだけではなく全てにおいて共通して言えることでありますが、

内容を見てもらい、世界に認知してもらって初めてその内容が評価されるわけなので、

自信を持って世に送り出せる内容を持っているとするならば、

どうやってその時代に沿った効果的な見せ方、プレゼンテーションで仕掛けるかを考えるのが

一番有効で尚且つ上り詰めるための近道だと思います。

見せた後の評価については今後多くのメディアで目にすると思いますが、

今回のショーは効果的な見せ方という点においては、

まず大成功だったのではないでしょうか。

 

 

私はパリや他のヨーロッパのコレクションへ行ったことはありませんが

今までニューヨークでは様々なショーを見てきました。

もちろんショーで見る服、モデルのメイクなんかは美しく見ていて楽しいのですが

心の底からワクワク、ドキドキするショーというのはこのニューヨークファッションウィークでは見たことがありません。

ただ、今回のANREALAGEのショーは

ショー会場ではなくパソコン越しに見ていたのにも関わらずドキドキワクワクさせられるショーで

してやられた!」というか「アンリアレイジあっぱれ!」というか

そんな感想を持ち、今回の記事を書かずにはいられませんでした。

 

 

私は先にも書いたようにANREALAGEを購入したこともなく大してブランドのファンでもなかったのですが、

アンリアレイジが将来、ギャルソン、ヨウジ、イッセイに続く「世界に誇る日本ブランド」になり得る希望を繋いだショーを、

パリ3度目の発表の場で魅せたことに敬意を表したいと思いました。

 

 

皆さんは今回のANREALAGEのショー、どう見ましたか?

 

*下の動画でもサカナクション山口一郎氏によるバイノーラル音源を体感できますので、視聴の際はイヤフォンまたはヘッドフォン着用を推奨いたします。

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