2009年よりNY在住で、共にファッション業界に身を置くロン毛(Wataru Shimosato)と坊主(Ryo Miyamoto)が綴るブログです。

海外生活を通して培ってきた考え方、仕事論、ファッションネタ、NY観光情報など雑多に更新中。

ブルックリンでオンラインブティックNo.648を運営しています。


ゲストエディター

[雨ニモ負ケズ] 井上陽水VS宮沢賢治 [風ニモ負ケズ]

[雨ニモ負ケズ] 井上陽水VS宮沢賢治 [風ニモ負ケズ]

ロン毛と坊主とニューヨーク [雨ニモ負ケズ] 井上陽水VS宮沢賢治 [風ニモ負ケズ]

 

 

 

先日、愛しのブックオフにて

阿佐田哲也の麻雀放浪記・青春編と激闘編を買い直しました。



その時に偶然、井上陽水の「ラインダンス」新潮文庫を見つけました。

井上陽水と仲の良かった阿佐田哲也のもうひとつのペンネーム、色川武大名義の一冊で

「ラインダンス」の解説を書いた。とあったので買ってみました。


本の内容は、井上陽水の詩が主で、ところどころに彼の手記が入る構成です。

私は詩は嫌いではないですが、立て続けに読むのは中々億劫な具合ですので

途中から手記を中心に読み、詩の方は飛ばし飛ばし進んでいきました。

本編を読み終わり、「まぁこんなものだろう。」と思い

沢木耕太郎の後書きを読んでいましたら、中々コクのあるハナシが書いてありました。


ある夜、井上陽水から沢木耕太郎へ電話がかかってきた。

レコーディングの大詰めで、宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」の詩を基に一曲作りたいのだが、

「雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ…」から後が、どうしても思い出せないとのこと。

沢木耕太郎も同様に思い出せない。

その夜のうちに詩集を手に入れ、井上陽水に電話で伝えた。

 

これは私も同様で、有名な一文の後はどう続くか思い出せませんでした。

続きはこうなります。

 

雨ニモ負ケズ 風ニモ負ケズ

雪にも夏の暑さにも負けぬ 丈夫なからだをもち

欲はなく 決して怒らず いつも静かに笑っている

一日に玄米四合と 味噌と少しの野菜を食べ

あらゆることを 自分を勘定に入れずに

よく見聞きし分かり そして忘れず

野原の松の林の陰の 小さな萱ぶきの小屋にいて

東に病気の子供あれば 行って看病してやり

西に疲れた母あれば 行ってその稲の束を負い

南に死にそうな人あれば 行ってこわがらなくてもいいといい

北に喧嘩や訴訟があれば つまらないからやめろといい

日照りの時は涙を流し 寒さの夏はおろおろ歩き

みんなにでくのぼーと呼ばれ

褒められもせず 苦にもされず

そういうものに わたしはなりたい

 

この詩は一見シンプルな代物ですが、読み手によってかなりの解釈が違い、

「雨ニモ負ケズ」論争まであったようですね。

「自分を勘定に入れない」という理想と、

しかし、「でくのぼーと呼ばれ」る現実と

「そういうものにわたしはなりたい」という願望

なんだか、宮沢賢治の書いている最中の

頭がこんがらがっている様子が目に浮かびます。

 

そして、井上陽水が「雨ニモ負ケズ」をもとにして書いた曲「ワカンナイ」がこちらです。

 

雨にも風にも負けないでね 暑さや寒さに勝ちつづけて

一日 すこしのパンとミルクだけで

カヤブキ屋根まで届く 電波を受けながら暮らせるかい?  

南に貧しい子供が居る 東に病気の大人が泣く

今すぐそこまで行って夢を与え

未来の事ならなにも 心配するなと言えそうかい?  

君の言葉は誰にもワカンナイ 君の静かな願いもワカンナイ

望むかたちが決まればつまんない 君の時代が今ではワカンナイ 

日照りの都会を哀れんでも 流れる涙でうるおしても

誰にもほめられもせず 苦にもされず

まわりの人からいつも デクノボウと呼ばれても笑えるかい?  

君の言葉は誰にもワカンナイ

慎み深い願いもワカンナイ

明日の答えがわかればつまんない

君の時代のことまでワカンナイ

 

宮沢賢治の詩があって、この詩ができたわけですが、

井上陽水の方は中々噛みごたえのある文のように感じます。

昔は、少しだけ社会もシンプルで人口も少なかったのでしょうが

今は、なかなか社会の目と人の目が多くなってきましたね。

 

以前にどこかで読んだ「闇金融ウシジマくん・ヤミ金くん編」に慈愛の精神に満ち溢れた「竹本」

という人物が登場して、他人を信じ抜き、彼らの借金を全部背負ってドン底まで堕ちていく話があります。

 

「あちらを立てれば、こちらが立たず」

「右を踏めば左があがる」

「両方立てれば身が立たぬ」

なんて先人のひとも悩んでいますね。

 

自分の人生なので、自分が立ってればいいんじゃないか

とも思いますが、そうもいかないのが他人と生きるということなのかもしれませんね。


[断捨離]離れていったもの:不機嫌な顔をした人達

[断捨離]離れていったもの:不機嫌な顔をした人達

 [ロン毛の彼女はグルジア人] 第二章 : 彼女の幼少期

[ロン毛の彼女はグルジア人] 第二章 : 彼女の幼少期